学校施設の在り方を検討 次期指標の策定に向け協力者会議が始動

文部科学省は2026年7月8日、「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」の第1回会合を開催しました。建築計画の専門家、教育学者、教育委員会関係者、自治体の長ら12名の委員が参加し、今後の学校施設整備の方向性について意見を交わしました。

会議では、学校教育を取り巻く現状と今後の検討課題について事務局から説明があり、その後、各委員による意見交換が行われました。複数の委員から、現在の学校施設が直面する課題が指摘されました。

建築・施設面の課題として、脱炭素化への対応が強調されました。委員からは、建築物省エネ法の改正によって2年後から学校施設が説明責任制度の対象となること、および2050年に向けた段階的な規制強化が予定されていることが紹介されました。既存施設の長寿命化改修や、新築ではなくリノベーションによる活用が重要性を増すと指摘されています。

教育内容の変化への対応も重要なテーマです。委員からは、次期学習指導要領に向けて、学びの高度化と多様性の包摂が同時に進むこと、AI技術の活用により個別化・個性化された学習が実現されることが見込まれると指摘されました。これに伴い、学習場所や学習時間が個別化する中で、均質に並んだ同じ大きさの教室ではなく、多様な学習活動を支える柔軟な空間設計が必要になると提言されています。

地域との関係を踏まえた学校施設のあり方についても複数の委員から意見がありました。特に少子化が進む地域では、統廃合ではなく小規模校を魅力的に運営するモードシフトが必要との指摘や、学校を核とした地域づくりという視点の重要性が強調されました。委員からは、地域材の活用や地域資源の生かし方など、地域の持続性を支える施設環境の構築が求められると述べられています。

自治体の現場からは、理想的な施設整備の実現に向けた課題が提示されました。教育委員会関係者からは、望ましい学校施設環境の姿を示しながらも、現状とのギャップを埋めるための具体的なステップの提示が必要であると述べられました。また、学校施設サポーターといった制度を活用して、個々の学校に寄り添ったアドバイスができる体制の充実が望まれています。

市町村長からは、財源確保の重要性が強く主張されました。補正予算ではなく当初予算での確保、地方財政措置の充実、補助要件の緩和が課題として挙げられました。特に長寿命化改良工事と併せた屋上防水や外壁改修の要件緩和、新たな教育課題に対応する国庫補助の充実、そして補助単価の引き上げが必要とされています。また、学校統廃合に伴う外構整備費やプール施設の整備・解体費についても補助対象の拡大が求められています。

防災教育と施設整備の関連性についても言及されました。委員からは、子供たちが自分たちの学校施設を深く理解し、防災面での知識を身につけることの重要性が指摘されました。

奈須主査は、幼児教育における「環境を通して行う教育」という考え方を小学校以降の教育に広げていくことの重要性を述べました。また、物理環境が子供や教師に行為を促すアフォーダンスという概念や、デジタル化の進展の中でも身体性や空間における学習の意義が失われないことの大切さが強調されました。

本協力者会議は、令和4年の取りまとめを踏まえながら、急速に変化する教育ニーズに対応する学校施設の在り方について、今後も検討を進める予定です。

出典:文部科学省 学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(令和8年度~)(第1回)議事要旨
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/080/gijiroku/mext_00005.html

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール