法科大学院の未修者教育充実が焦点 弁護士会が多様性確保を強調

文部科学省中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会は令和8年7月10日、オンラインで第124回会合を開きました。会議は公開原則に基づきYouTubeで配信され、法科大学院教育の動向と未修者教育施策が主な議題となりました。

日本弁護士連合会の二川副会長と岡副会長は、多様なバックグラウンドを有する法曹の育成の意義について発表しました。医師や建築士、宇宙工学や教育心理学などの専門知識を持つ弁護士が、それぞれの分野で社会的価値を創造している事例を紹介。実社会の複雑な課題解決には、法律知識のみでなく特定分野の専門性を備えた法曹が不可欠だと強調しました。

とくに岡副会長は、現在の法科大学院が「3プラス2」制度と在学中受験導入により既修者コースの合格率は安定している一方で、未修者の合格率が低いままであることが課題だと指摘。未修者教育の質向上に向けて、実務家教員による指導強化や補助教員の活用、未修者教育に特化した法科大学院への特別支援制度の検討を求めました。また、多様な背景を持つ人材を法科大学院に呼び込むため、多様性を重視した入試実施や、社会人学生への環境的・経済的配慮の充実も必要だと述べました。

福岡大学法科大学院の藤村院長は、同大学の未修者教育の取組を報告しました。同大学院は在籍学生の96.1%が法学未修者で、全国的に見ても未修者比率が突出して高いのが特徴です。九州・沖縄地区出身者が約88%を占め、地域に根差した法曹養成を理念としています。

教育面では、法学未修者が大多数であることを前提に、民法・刑法を細かく分科した科目設定や、基本科目の一部を2年次に配当する工夫を実施。1年次の入門科目充実により、非法学部出身者の基礎学力定着を図っています。また、在学中受験に対応した専用プログラムを設け、2年次の単位上限緩和と科目配置の工夫により、未修者向けカリキュラムを維持しながら受験条件を満たせるよう配慮しています。

同大学院の累計修了者237人のうち219人が未修者で、司法試験合格者は87人。多様な学部背景(教育学部、経済学部、医学部など)を持つ学生が在籍し、年齢も20代から50代以上まで幅広い構成となっています。授業料が全国の法科大学院で最も安いことも、受験者確保につながっているとのことです。

会議では、受験者数の安定確保に向けた地道な取組の重要性、法学既修者コース志願者の確保課題、非法学系出身者割合の低下傾向など、現在の法科大学院が直面する具体的な課題も浮き彫りになりました。委員からは、これらの課題解決に向けた理論と実務の連携強化、および評価制度におけるインセンティブ設計の必要性についても議論されると見られます。

出典:文部科学省ウェブサイト「中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会(第124回)議事録」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/041/gijiroku/1415416_00039.htm

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール