第4回デジタル教科書指針検討会、発達段階と健康影響を議論

文部科学省は令和8年8月3日、デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議の第4回を開催しました。会議は対面とオンラインのハイブリッド形式で実施され、児童生徒の発達段階、健康への影響、学力への効果など、教科書デジタル化の重要課題が検討されました。

発達心理学の専門家からは、紙とデジタルのいずれが効果的かは、学習内容や児童の特性、学習環境など複数の要因によって異なるという研究知見が報告されました。特に読解や物語理解では紙が、語彙獲得ではデジタルが有効な傾向が見られるとのこと。また、デジタル教材に付属する拡張機能の設計が重要で、学習に関連しない機能が多いと認知負荷が増し、理解を妨げる可能性があるとされました。

読みのスキル形成期にある児童については、特に慎重な対応が必要との指摘がありました。小学1年生を対象とした研究では、単語の読みがまだ流暢でない児童は、デジタル画面より印刷物で高い理解度を示したとのこと。認知資源が限定的なため、デバイス操作や画面上の情報処理に注意が散漫になり、読解そのものへの集中力が低下する傾向があるためです。

一方、学習障害のある児童に対しては、読み上げ機能など個別対応が可能なデジタルの利点も報告されました。また、デジタル使用時間と学業成績の関係については直線的ではなく、1日2~4時間をピークとした山型の関係が示唆されており、完全な使用禁止より適切な時間管理とバランスが重要とされました。

教室での使用に関しては、PISA2022の調査結果から、OECDの平均で30%の生徒がデジタル機器により授業中に注意をそらされると回答している一方、日本の割合は低いことが報告されました。ただし、今後のデジタル導入拡大に伴い、注意散漫を防ぐための教室設計が必要とされています。

別の専門家からは、発達段階に応じた非認知的スキルの育成の観点から、教科書の役割を「知識を伝える器」から「学びへの意欲を引き出す存在」と再定義する必要性が述べられました。紙媒体は同じ対象を共有し対面でのやり取りが自然に生じるため、相手の反応を見ながら学習を調整する力が育ちやすい一方、デジタルは個別化対応と即時フィードバックが可能であり、両者の得意な機能を状況に応じて活用することが重要とされました。

会議では、児童の注意制御能力やワーキングメモリ、メタ認知の発達段階によって、媒体の選択と設計を変えるべきことが強調されました。特に小学校中学年以前では、自分が理解できているかを客観的に判断する力がまだ未熟なため、本人が読みやすいと感じる媒体と実際の理解度が一致しない場合があるとされています。

出典:文部科学省ウェブサイト「デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議・第4回議事録」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/206/gijiroku/mext_02447.html

本記事は一次情報をもとにWorldEdu Report編集部が編集しています。編集方針:運営者情報

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