第5期中期目標期間の国立大学運営費交付金 算定方法を中間まとめ

文部科学省は令和8年7月10日、第5期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会の第3回会合をハイブリッド形式で開催しました。橋本座長の下、運営費交付金の算定ルールに関する中間まとめ(素案)について協議がなされました。

【基本方針と課題認識】

素案は、運営費交付金が我が国の知の基盤を支える根幹として機能する重要性を強調しつつ、近年の物価上昇と人件費増加により基盤的経費の実質的価値が低下していることを課題として指摘しました。また施設設備の老朽化に伴い、安全で安心な教育研究環境の維持が困難になっている状況に触れています。

従来のデュアルサポート制度(基盤的経費と競争的資金による二層支援)について、基盤的経費の削減により機能不全が生じていると指摘。競争的資金だけでは運営費交付金削減に対応できないとして、第5期に向けた運営費交付金確保の必要性を主張しました。

この方針は令和8年3月に閣議決定された第7期科学技術・イノベーション基本計画に基づき、物価変動対応を含めた安定性向上の観点から進められています。

【2層構造による新算定方式】

素案の核心は、運営費交付金の算定を2つの層に大別することです。

**第1層「教育研究の基盤を支える枠組み」**では、各法人の規模をベースに支援単価を設定し、物価・人件費変動係数を乗じる方法を提案しました。具体的には必要教員数に人件費単価と変動率を掛け、職員費、退職手当、研究費相当額、学生経費、施設維持経費などを積算する方式です。この層は安定性・継続性・予見可能性を重視し、物価変動に連動させる仕組みとします。

第1層の算定で論点となるのは、①必要教職員数の設定(法人化時の承継ポスト数を参考としつつ、各法人の実態を反映)、②人件費単価(第4期同様に給与費相当額を別途算定)、③退職手当(過去支給実績平均を活用し固定額配分)、④物価変動率の指標選定です。

素案は各大学に対し、年俸制導入や若手教員ポスト確保などの人事給与システム改革の検討を促しています。

**第2層「各法人の戦略的取組を推進する枠組み」**は、学長のリーダーシップに基づく新機能創出や体制整備を支援するもので、3つの要素から構成されます。

第1要素の「政策実現・機能強化の取組」では、中期目標期間を通じた継続的プロジェクト支援を構想。各法人の中期目標・中期計画と密接に関連した指標(KPI)を設定します。優れた実績を上げた取組は、最終的に第1層に組み入れることも想定しています。

第2要素の「学長裁量経費」は、従来の規模に応じた配分に加え、学長の改革構想を反映する上乗せ措置によるめり張りづけを検討しています。

第3要素の「成果・実績に基づく配分」では、現行の相対評価から実績値を直接反映させる方法への転換を検討。評価指標をシンプルで政策目的と明確に関連したものに整理し、多面的評価を推進する方向性を示しています。

【附属施設等への対応】

附属病院については、国公私立共通の支援枠組みと国立大学特有課題への支援を明確化することが必要とされました。基幹教員配置に関する具体的人数を明確にした上で、第1層での追加支援の検討が求められています。

附属学校については、実験校としての役割を踏まえ、現在の地域公立学校との教育環境格差を是正する必要があると指摘。教職調整額増加分の反映やスクールカウンセラーなどの支援スタッフ配置経費の算定を検討します。次期学習指導要領実装の先導的モデル開発に挑戦する附属学校への支援強化も議論されています。

附置研究所については、研究力強化に向けた新陳代謝と再編の仕組み導入が求められ、分野特性を考慮した単価設定を検討。共同利用・共同研究拠点については、国立大学法人制度枠内にとどまらない総合的支援を検討します。

大学共同利用機関法人については、原則として国大法人と同様の算定方式を採用しつつ、光熱水費や共同利用経費について特別配慮を検討。国際協力分担金についても引き続き支援の必要性を言及しています。

【第4期への対応と実装への課題】

第5期に向けた検討と並行し、第4期中期目標期間(令和9年度以降)における運営費交付金の確実な確保も重要課題として位置付けられました。素案では第7期科学技術・イノベーション基本計画に述べられた「大幅な拡充」の実現を強調しています。

新算定方式の導入に際しては、第4期基幹経費との乖離が生じる可能性から、教育研究活動の継続性に配慮した激変緩和措置の検討が明記されました。

各大学には予算管理に加え、教育研究等の活動単位でコスト情報を管理し、成果と便益を学内外に情報発信することが求められています。新制度への理解と信頼の構築が実装の鍵とされています。

出典:文部科学省ウェブサイト https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/135/gijiroku/mext_00002.html

本記事は一次情報をもとにWorldEdu Report編集部が編集しています。編集方針:運営者情報

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