スリランカの高等教育改革、12万人以上の学生がSTEM分野で恩恵

世界銀行は2026年5月、スリランカの高等教育開発加速プロジェクト(AHEAD)の成果に関する報告書を公開しました。

【プロジェクトの背景と目標】
スリランカの高等教育セクターは経済発展と中所得国から上中所得国への移行に重要な役割を果たしていますが、多くの課題を抱えていました。2014年の高等教育への総就学率は21%で、同水準の国々の平均を下回っていました。特にSTEM分野(科学・技術・工学・数学)の学生割合は低く、科学系が13%、工学系が7%にとどまっていました。また研究・イノベーション成果も限定的で、受動的な学習方式と質の高い教員不足が課題でした。

【実績】
AHEADプロジェクトは以下の成果をもたらしました:

・12万人以上の学生(うち女性7万人、全体の58%)がカリキュラムの改善、大学と産業の協働強化、英語スキル向上から恩恵を受けました。

・STEM分野の選定高等教育機関での入学者数は2017年から2023年にかけて年10%の増加率を達成し、最終目標を約30%上回る実績となりました。

・地方の大学でも顕著な増加が見られました。特にスリランカの最も発展途上の州に位置するウヴァ・ウェラッサ大学の工科学部は、微生物学、食品システム、生物システムの高度な実験室施設の支援を受け、2017年比で2023年の入学者が100%以上増加しました。

・スリランカ先端技術教育機関(SLIATE)のSTEM入学者は目標を12%上回りました。

・研究開発・イノベーション商業化(RDIC)の91の副プロジェクトが成果目標の80%以上を達成し、当初想定の48プロジェクトを大きく上回りました。これらのプロジェクトには、効率性が高いグラファイト入りゴムタイヤや、シナモンを使用したワイン・ビール・コーラなど、スリランカの主要輸出製品を改善するイノベーションが含まれています。

・15の対象大学全てに大学・企業連携(UBL)オフィスが設置され、大学と産業の継続的なパートナーシップを構造化し、技術移転と卒業生・研究成果と民間部門の橋渡しを実現しました。

【プロジェクトの成功要因】
プロジェクトの設計と実施に学術スタッフが深く関与したことが成功の鍵となりました。STEM、人文科学、社会科学など複数分野の大学専門家チームがプロジェクトを設計し、これらの専門家の一部は政府高等教育省の運用監視チームにも参加することで、深い理解と持続的なコミットメントを確保しました。

【今後の展開】
世界銀行は農業ビジネス、観光、ケア経済などの重要産業セクターと、デジタルスキルといった横断的分野に特に焦点を当てながら、スリランカのスキルアジェンダへの関与を継続します。人工知能や産業ロボットなどの急速に進化する技術、また高齢化社会における健康・介護産業やアグリビジネス・観光分野など、将来の雇用創出が期待される分野でのスキルニーズを検討する支援を進めています。

出典:World Bank, CC BY 4.0
http://www.worldbank.org/en/results/2026/05/07/quality-higher-education-is-key-to-jobs-and-prosperity-here-is-how-sri-lanka-did-it

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