文部科学省は2026年3月24日、国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会第2回会議を開催しました。第5期中期目標期間(2028年度以降)に向けて、運営費交付金制度の抜本的改革を検討しています。
【これまでの議論のまとめ】
第1回会議での議論から、以下の課題が浮かび上がっています。基盤的経費と競争的資金による「デュアルサポートシステム」が機能していないこと、運営費交付金の総額確保と物価・人件費の変動への対応が不十分なこと、そして評価指標が複雑化しており、大学側の負担が増加していることです。
委員からは、外部資金の獲得が多いほど大学運営が厳しくなるという逆説的な状況の改善、評価制度のシンプル化、そして基盤的機能の維持と改革精神の両立が重要との指摘がありました。
【改革の方向性】
事務局が提示した改革案は、運営費交付金を二層構造に再編成することです。第1層は「教育研究の基盤を支える枠組み」として、教員数や学生数、施設面積などの規模をベースに支援単価を設定し、物価・人件費の変動係数を反映させます。第2層は「改革を推進する枠組み」として、各大学のミッションや成果指標に基づいた上乗せ支援を行うという構想です。
この構造は、海外、特にヨーロッパの大学支援制度から学んだものです。会議では、英国の研究者である林委員が、欧州諸国の最新の動向を説明しました。
【海外の先進事例】
イギリスでは、教育向けと研究向けの交付金を明確に区分し、それぞれに透明な算定方式を採用しています。教育向けは学生数に分野別単価を掛け、研究向けは研究評価結果に基づいて配分しています。重要な点として、イギリスは法律により「運営費交付金と競争的資金のバランス確保」を義務付けており、毎年その比率を維持するよう予算書に記載しています。
オーストラリアでも同様に、学生数と分野ごとの単価による教育費配分、競争的資金に連動した間接経費配分、博士課程学生への専門的資金配分という仕組みを導入しています。
こうした海外の制度に共通する特徴は、(1)配分方式がシンプルで透明、(2)複数の資金配分手段をバランスよく組み合わせ、(3)固定費を適切にカバーし、(4)データの公表により説明責任を果たしている、という点です。
【今後の検討課題】
会議では、これ以外にも検討すべき課題として、附属病院や附属学校への支援の在り方、高等教育固有の物価指数の開発、グループ別支援の枠組み見直しなどが挙げられました。特に、物価・人件費の上昇に対応しながら、学生納付金の在り方もあわせて検討する必要があるとされています。
委員からは、現在の係数による再配分方式では複雑すぎて、評価から得られる実益が少ないという指摘があり、シンプル化の重要性が強調されました。
本検討会は今後も議論を継続し、第5期中期目標期間に向けた具体的な改革案をまとめる予定です。
出典:文部科学省「第5期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会(第2回)議事録」https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/135/gijiroku/mext_00001.html
