モロッコの教育改革が本格化しています。世界銀行が2026年5月に発表した情報によると、同国は学習危機の解決を目的とした「先駆的学校」プログラムを通じて、全国的な教育改革を推し進めています。
**プログラムの急速な拡大**
この取り組みは2023年度から始まりました。当初のパイロット段階では626校の公立小学校を対象にしていましたが、その効果から急速に拡大され、2025~2026年度には4626校まで増加しました。これはモロッコの公立小学校の約54%に相当します。プログラムは現在200万人以上の生徒に影響を与え、約7万5000人の教員と960人の学校視察官が携わっています。
**取り組みの背景**
モロッコは近年、初等教育へのアクセスは大幅に拡大させてきましたが、学習の質に深刻な課題を抱えていました。2023年時点で、10歳児の約60%が小学校終了時に簡単なテキストを読んで理解することができない状況にありました。このため、単なる就学率の向上ではなく、実質的な学習成果の改善が急務だったのです。
**革新的な指導方法の導入**
プログラムの中核は「生徒の段階に合わせた教授法」(TaRL)など、証拠に基づいた教育実践です。毎年9月に実施される1ヶ月間の集中補習では、アラビア語、フランス語、数学の基礎学習に特化した指導が行われます。生徒は学習レベル別にグループ分けされ、継続的な形成的評価と構造化された教材でサポートされます。追加の支援が必要な生徒には、年間を通じた補習が提供されます。
プログラムは学習指導に留まりません。教員のための専門的な開発支援、学校のインフラの近代化、デジタル機器の配備、運営資源の増加も行われており、学校予算は3倍に増加しています。
**初期段階での成果**
モロッコ・ポリテクニック大学ムハンマド6世に基づく革新・評価研究所による初期インパクト評価は、プログラムの有効性を示しています。実装後わずか1年で、先駆的学校の生徒が比較可能な学校の生徒の82%を上回る学習成果を達成したことが示されました。読字、書字、数学分野での大幅な改善が記録されています。
この成功を受けて、プログラムは中学教育にも拡大されました。2024~2025年度に開始された「先駆的カレッジ」パイロット事業は786校、約678000人の生徒を対象としており、特に中退率が高い地域が重点とされています。
**支援体制と戦略的背景**
世界銀行は7億5000万ドルの教育支援プログラム(PASE)を通じてモロッコの改革を支援しており、2019年の開始から2023年に追加融資が行われています。モロッコ政府は2022~2026年の戦略的教育ロードマップの中核として、このイニシアティブを位置付けています。
プログラムはまた、社会・感情的サポートメカニズムを含む課外活動の側面も備えており、学習と生徒の幸福度の向上を総合的に目指しています。初等教育就学前教育が拡充されるにつれて、生徒がより良い準備で小学校に進学するようになり、先駆的学校改革と相まって、さらなる学習成果の向上が期待されています。
出典:The World Bank, CC BY 4.0
http://www.banquemondiale.org/fr/news/feature/2026/05/21/morocco-s-pioneer-schools-advancing-improved-student-learning
