2024年4月24日、文部科学省の中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会社会・地理歴史・公民ワーキンググループが開催され、主権者教育と学校外施設・人材との連携について議論されました。
現状課題として、生徒の社会参画意識が諸外国と比べ低水準にあることが報告されました。10代の投票率は全体の約6割に対し4割強にとどまっており、外部機関との連携も限定的で、高等学校の選挙管理委員会との連携は約2割、自治体との連携は約7%程度とのことです。一方、小学校では博物館や郷土資料館などの活用が3年生では8割弱であるのに対し、学年が進むにつれて低下する傾向が見られます。
改善の方向性として、事務局は主権者教育をより実践的な活動へシフトさせることを提案しました。具体的には模擬選挙や模擬請願などの体験活動を充実させつつ、単なる形式的活動に留めず、多様な意見交換を通じた合意形成を含める必要があると指摘。選挙管理委員会や議会事務局などの外部機関との連携を広げるとともに、特別活動や総合的学習・探究の時間など他の教科等との横断的な連携も重視します。また、デジタル環境を活用した学習やオンラインでのゲストティーチャー活用なども活用方向として示されました。
これに対し、岡山大学の桑原委員は、主権者教育の根本的な課題を指摘しました。現在の主権者教育が投票率向上に偏重し、選挙に関わる特別な教育として社会科や外部機関に限定されているという誤解が広がっていると述べました。委員は、主権者育成は学校全体の教育活動に組み込まれるべき視点であり、投票すべき理由を教えるのではなく、民主主義の価値観そのものを小学校段階から段階的に学ぶべきと主張しています。
委員は、小学校では自由や権利といった理念的な価値を具体事象を通じて学び、中学校でより複雑な概念を習得し、高等学校で多面的な考察を行う一貫性が重要と述べました。また、外部人材の活用では、専門家が一方的に指導するのではなく、子どもを対等な市民として扱い、相互に意見交換する関係構築が主権者育成につながると指摘しました。
参加委員からは、分野横断的・学年横断的な主権者教育推進の必要性や、政治・社会への関心育成の重要性が強調されました。また、外部機関との連携に際しては、学校が利用しやすい体制整備と、中立性への配慮を求める声が上がっています。
文部科学省は今後、これらの意見を踏まえて学習指導要領の改訂に向けた検討を進めていく予定です。成年年齢引き下げとこども基本法施行により、高校生にとって政治や社会がより身近になる中での教育課程の見直しが求められています。
出典:文部科学省 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会社会・地理歴史・公民ワーキンググループ第7回議事録
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/109/gijiroku/mext_00007.html
