令和8年度教科書検定 デジタル対応の審査方針を決定

2026年9月2日、文部科学省の教科用図書検定調査審議会総括部会(第2回)がオンライン開催され、デジタル形態を含む新しい教科書への対応について、具体的な検定方針が示されました。

【デジタルコンテンツの位置づけ】
学習指導要領に基づく主たる教材としての教科書の役割は変わらないという基本方針のもと、動画・音声・シミュレーションなどのデジタルコンテンツについて、教科の本質的理解の獲得に資するか、授業での活用目的が明確か、限られた授業時数内での実施が想定されているかの3つの観点から審査することを決めました。

文部科学省が現行教科書のQRコード先の動画を調査した結果、教科書として掲載可能な例として、数学の図形やグラフを変化させるシミュレーション、理科の実験・観察における安全な器具使用方法の動画、音楽の楽器奏法、美術・技術の材料・用具扱い方、外国語の発音練習が挙げられました。一方、単なる音読音声の全編掲載、入試問題を含む大量の練習問題、図鑑データそのもの、娯楽要素のあるゲーム・漫画、教師に代わって解説する講義動画などは教科書掲載に適さないと判断しました。

【機能審査と外部リンク】
音声読み上げや文字拡大などの機能は、検定時に機能一覧の確認にとどめ、動作確認そのものは行わないことにしました。教科書発行者が責任を持って編修・管理できるコンテンツのみを掲載対象とし、外部ウェブサイトや教科書外教材へのリンクは認めません。学習指導要領に示す内容は文字と静止図画で不足なく記述し、デジタルコンテンツはこれらと密接に関連するものに限定します。

【動画総量の上限設定】
教科の特性と児童生徒の発達段階を踏まえ、動画総量に上限を設けることを決定。技能習得に動画が特に有効な実技系教科、観察・実験を通じた学習が重要な理科、言語活動充実に向けた外国語と、国語・社会・道徳・算数数学など他教科で、段階的に異なる上限時間数を設定する予定です。各部会や校長会から、1単位時間(45分)内に収まることや、1本当たり30秒~1分、長くても5分以内とすべきとの意見が出ました。

【音声の審査方法】
外国語の発音について、申請時に当該教科書の外国語音声方針の提出を求めたうえで、発音表記との整合性、発達段階への配慮、その言語として通用するかを確認します。発音学の専門家のみではない委員構成を踏まえ、審査体制の強化も検討しています。

【紙とデジタルの役割分担】
ハイブリッド形態の教科書では、紙とデジタルの役割を明確に分けた構成を望ましいとし、同一内容の重複掲載は真に必要な場合に限定。デジタル部分にもページ番号を振り、授業での位置特定を容易にします。

【訂正申請の仕組み】
誤記・誤植などの軽微な訂正は文部科学省の承認後に随時反映させる一方、統計資料の更新など学習内容に影響のある訂正は、学校現場の混乱を避けるため長期休暇中など学習に支障のない時期に限定。更新履歴やバージョン確認の仕組みを求めています。

【AI搭載について】
AIの教科書搭載については、技術発展を踏まえつつ、搭載の必要性、性能・信頼性の確保方法、教科書検定の意義との関係など、複数の観点からの整理が必要と判断。生成AIは回答内容の可変性から正確性担保が困難として、当面は教科書掲載ではなく教材としての活用を検討すべき課題とされました。

【体制整備】
デジタルコンテンツに特化した専門委員の追加委嘱などにより、審議会の体制充実を図る予定です。現場からは動画内容の文字起こし資料活用、アクセシビリティー対応の専門家参画などの要望が挙げられました。

検定基準の詳細化と具体的な手順は、今年度末までに完成させる方針です。

出典:文部科学省ウェブサイト https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/tosho/016-5/gijiroku/1417316_00001.htm

本記事は一次情報をもとにWorldEdu Report編集部が編集しています。編集方針:運営者情報

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