文部科学省は2025年4月17日、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の家庭ワーキンググループ第6回会議を開催し、デジタル学習基盤を活用した家庭科教育の充実について審議しました。
会議では、石川県能美市立寺井中学校の亀田委員が実践事例を報告しました。GIGAスクール構想により1人1台の端末が配備されてから5年が経過し、家庭科の授業ではこれまでアナログで実施していた学習がデジタル化されています。
具体的には、住生活の学習で家具配置を考える課題では、従来は紙ベースのワークシートと模型を使っていたものが、スライド上で家具を動かしながら配置を検討でき、アンケートフォームで生徒の意見を即座にグラフ化して共有できるようになりました。被服製作では、教員が撮影した動画をクラウド上に保存し、生徒が必要に応じて繰り返し視聴して学ぶ「個別最適な学び」が実現しています。
さらに亀田委員は、生成AIの活用可能性も提示しました。小学校段階では、本立てのアイデア出しでAIと対話したり、整理整頓のシミュレーションをロールプレイで実施したりできます。中学校では、幼児とのかかわりを事前にAIとシミュレーションして実習に臨むことが可能です。ただし「人間中心のAI活用」として、生徒が自ら考え判断し、成果を自らの言葉で説明できる環境づくりが不可欠とされています。
ワーキンググループのメンバーからは、デジタル活用の教育効果を支持する意見が相次ぎました。中学校の事例では、デジタル学習カードに毎時間の成果と困ったことを記録することで、生徒の粘り強い課題解決を促進でき、教員の個別指導も効率化できると報告されました。小学校の実践では、調理をペア学習で行い相手の様子を撮影して振り返ることで、自分の姿を客観的に見る効果が指摘されました。
ただし課題も浮かび上がりました。VR映像を活用した住生活学習の実践報告から、教科の学習目的に合致した高品質な教材開発には、工学部などの専門家と教育現場の連携が必要であること、また作成には相応の時間と費用がかかることが明らかになりました。被服製作の実践から、デジタル教材だけでなく実物のサンプルと組み合わせることで、布地の質感や裏返すなど触覚を伴う学習が重要であることも指摘されました。
ワーキンググループは、デジタルと実物の特徴をそれぞれ活かしながら教材を活用する重要性を確認しました。事務局は、全国的な学校間格差を縮めるため、デジタル学習基盤が常に利用可能であることを念頭に、学習指導要領の見直しを進める方針を示しています。
出典:文部科学省「中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会家庭ワーキンググループ(第6回)の議事録を掲載しました」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/114/gijiroku/mext_00006.html
