専門高校の情報活用能力強化へ、デジタル学習基盤を前提に教育課程改訂検討

文部科学省は2026年4月8日、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会産業教育ワーキンググループの第6回会議を開催し、職業に関する各教科における情報活用能力の強化について審議しました。

【現状の課題と背景】

会議では、現行の高等学校学習指導要領がデジタル学習環境の旧状況を前提として作成されていることが指摘されました。改訂当時は学校の端末が1台当たり4.6人で、インターネット接続率は22.5%でしたが、現在は1人当たり1.2台、接続率99.4%と大きく進展しています。

また経済産業省の2040年就業構造推計では、事務職や文系人材が余剰となる一方で、AI・ロボット利活用人材を含む専門職や現場人材が不足する可能性が指摘されています。こうした背景から、専門高校卒業生が情報技術を使いこなすアドバンスド・エッセンシャル・ワーカーとして社会で活躍することが期待されています。

【改訂の主な方向性】

事務局は大きく三つの改訂方向を提案しました。第一に、デジタル学習基盤を前提とした職業専門学科の学びの在り方を検討すること。第二に、データサイエンスやAI等の情報技術を活用した情報活用能力の育成強化。第三に、情報活用能力育成強化に向けた必履修教科・科目の代替の在り方です。

具体的には、デジタル学習基盤を用いることで、①多様で大量の情報を扱うことができ、②時間や空間を問わず情報をやり取りでき、③思考の過程や結果を共有でき、④多様な子どもたちにとって包摂的な環境を実現できるようになるとされました。

農業科では、ドローンによる圃場観測、センサーを用いた環境モニタリング、生育データの分析、GIS分析、病害虫AI診断アプリ、AI収量予測モデルなどが学習例として示されました。

【学習指導要領への反映】

現行要領では「コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り、学習の効果を高めるよう工夫すること」と記述されていますが、これを大幅に見直す必要があると指摘されました。情報に関する科目では情報技術の活用実態や動向、当該技術の概要を盛り込み、その他の科目では内容の取扱いの中にAI・データサイエンス活用を位置づける方向が示されました。

【審議での主な指摘】

委員からは複数の重要な指摘がありました。まず、デジタル技術のリスク面への対応が重要であり、情報セキュリティ、サイバー攻撃対策、情報モラル、テクノロジー倫理といった負の側面も学習指導要領に盛り込む必要があるとの指摘がなされました。

また、専門高校が普通高校と同じレベルのデジタル学習基盤だけでなく、スマート専門高校やDXハイスクール事業で整備された先端的な機器を含めた広い意味での基盤として捉えるべき点が強調されました。さらに、小中高を通じた体系的な情報活用能力育成の中での共通教科「情報Ⅰ」との役割分担の重要性も指摘されました。

会議では、今後の改訂作業において、これらの指摘を踏まえながら、学習指導要領の具体的な記述内容を検討していくことが予定されています。

出典:文部科学省 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/106/gijiroku/mext_00007.html

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