文科省と経産省が連携、世界競争力ある研究大学群の形成へ

文部科学省の科学技術・学術審議会大学研究力強化部会は2026年4月22日、第7回会合をハイブリッド形式で開催しました。本会合では、世界で競い成長する大学経営の在り方に関する研究会の中間取りまとめについて、経済産業省イノベーション・環境局の川上室長が説明しました。

**研究会の背景と目指す方向性**

文科省と経産省が共同で設置した研究会は、2024年9月から5回にわたり検討を重ね、2025年3月に中間取りまとめを公表しました。研究会では、科学とビジネスが近接する時代において、世界で競い成長する大学が国内に一定数存在することの重要性を指摘。その前提として、世界的に高く評価される高度で多様な研究力と教育力を持ち、イノベーション源となり得る大学を目指すべきと述べています。

**国際競争力の現状課題**

アメリカやイギリスのトップ大学と比較すると、日本の大学の財務成長率は低い状況が明らかになりました。産学連携の面では、日本は300万円未満の小型案件が約8割を占め、海外のような大型の企業投資が不足しています。一方で、大阪大学と筑波大学の事例では、数十億円規模の大型連携が進みつつあり、今後の可能性を示唆しています。

研究力の観点では、トップ10%や1%の研究水準でも、アジア・オセアニア地域の他国に比べて日本は横ばいから微減傾向です。その背景には、大規模国立大学において人件費の割合が低下し、教員が研究活動に充てる時間が減少している点が挙げられます。さらに、海外トップ大学と比べ、研究をサポートする人材体制が充分ではありません。

**海外の先進事例**

研究会ではバークレー、ペンシルベニア、MITなど複数の海外大学をベンチマークしました。カリフォルニア大学バークレー校は、州からの収入は増加していないにもかかわらず、企業資金と寄附金で大幅に収入を成長させています。ペンシルベニア大学は2013年からライセンス収入を最大化する戦略を実行し、mRNA関連の知財を活用した大型契約を実現しました。MITは政府・大企業と共同で研究所を設立し、巨額の投資を得ています。台湾の新竹地域は、産総研的なITRI(工業技術研究院)と大学、企業が自由に往来するエコシステムを形成し、半導体産業の世界的クラスターを構築しています。

**新たな研究大学群の形成**

研究会は2つの柱を提案しています。第1は新たな研究大学群の形成です。既存の国際卓越研究大学とJ-PEAKSに加え、新たな大学群を構想します。このグループは、新技術立国の核となる高い研究力を有し、産業競争力強化に貢献することを特徴とします。形態としては産学融合型グローバルを目指すタイプ、人材育成を重視するタイプ、高度なアカデミック連合タイプなどを想定しています。

大学群の形成には、ガバナンス改革をセットで推進することが必須です。求められるのは、研究力、人材、経営力、社会実装、成長、国際性という総合的な能力です。

**三位一体の推進体制**

支援の仕組みは三位一体で構成されます。政府は制度環境の整備を担当し、大学群を成す各大学は経営改革を推進します。その上で支援措置として、2つの予算枠を用意します。1つは「横の予算」と呼ぶ交付金に準じた大学機能強化予算を文科省が担当。もう1つは「縦の予算」と呼ぶ分野ごとの支援予算を経産省が担当します。政府は17分野について重点的に展開する予定です。

第2の柱は、世界トップ大学と同等の自由で柔軟な経営環境の実現です。これについては詳細検討が進行中で、今年度に大学経営ガイドラインの作成を予定しています。

**企業投資を促進する具体施策**

経済産業省は複数の新政策を推進中です。研究開発税制では、戦略技術領域型を創設し、事業者が戦略領域を設定して認定を受ければ、研究費の40%を控除できます。政府認定の大学拠点と共同研究する場合は、税額の50%を控除でき、企業版ふるさと納税(60%控除)に匹敵する強力なインセンティブです。

また「契約学科」という新しい教育プログラムの仕組みも構想しています。産学が協力して設置する学位授与型プログラムで、企業の資金投入を支援します。NEDOが補助金を創設し、毎年の公募を予定しています。

**両省連携の強化**

川上室長は、今後の文科省と経産省の連携の在り方として、経産省と文科省の審議会下にそれぞれワーキンググループを設置し、従来の研究会形式から、より体系的な両省連携体制への移行を示唆しました。

会合では、野口委員が産業界からの研究開発投資を1.6倍に拡大するための課題について質問。川上室長は、日本企業の研究開発投資の意思決定方法の転換、大学経営における人件費の適切な回収、新しい税制インセンティブの活用などが重要と指摘しました。

出典:文部科学省ウェブサイト「科学技術・学術審議会 大学研究力強化部会(第7回)議事録」https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu35/gijiroku/00007.html

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