産業・科学革新人材事業(INSIGHT)のガバニングボード初回開催、基本方針を承認

文部科学省は2026年4月3日、産業・科学革新人材事業(INSIGHT)ガバニングボードの初回会合を東京都内とオンラインのハイブリッド形式で開催しました。100名以上が傍聴し、事業の基本方針について審議・決定しました。

本事業は、我が国の科学技術・イノベーション政策の中核的基盤である科学技術人材への投資を抜本的に拡充することを目的としています。2025年度補正予算で措置された基金を活用し、国、アカデミア(大学・研究機関)、産業界が中長期的視点から相互連携を強化し、重要技術領域における研究開発と人材育成に戦略的・重点的に取り組む枠組みです。

会合で承認された基本方針の主要な要素は以下の通りです。

**基本方針の3本柱**
第一に、産学官が連携して先端分野を設定します。高市政権が掲げた戦略17分野、および科学技術・イノベーション基本計画における17領域を念頭に、これらを物理・工学領域、資源・エネルギー技術領域、機械・電子・情報・通信領域、生命科学・化学領域の5つの大きな領域に整理しています。

第二に、産業界から大学への投資規模、特に人的投資を拡大することを目指します。日本は人的資本投資をコストと見なす傾向が強く、諸外国と比較して著しく低い状況が課題です。

第三に、大学の経営力・財政力強化のため、人事給与マネジメント改革を推進します。

**支援対象大学の条件**
大学と企業が共同で研究開発・人材育成計画を策定し、以下5つの取組を実施する大学を支援対象とします。

(1)クロスアポイントメント制度や兼業・サバティカル制度を活用した人材交流の拡大。大学教員と企業研究者が双方から雇用関係を結び、努力度に応じて給与を分担する仕組みを導入します。

(2)先端分野における新たな研究者・技術者の採用・育成。ポストドクターや博士後期課程学生のリサーチアシスタント活用も含みます。

(3)学部学生・大学院生向けの教育プログラム開発。副専攻や学科共通科目の設置を想定しています。

(4)学内専門組織体制の整備。研究開発マネジメント人材や技術職員の配置を推奨し、文部科学省がガイドラインを新規整備します。

(5)民間投資拡大のための新機能整備。共創研究所や高等研究院など独立した組織体制、民間資金管理機能、民間投資戦略の策定を想定しています。

**事業規模と実施体制**
基金総額270億円(3年計上)を活用し、約20大学程度に対して1大学当たり年間5億円程度の支援を予定しています。支援期間は2026年度から2031年度までの6年間です。支援額については大学規模に応じて複数のカテゴリーを設ける予定です。

実施体制は、文部科学省にガバニングボードを設置し、経済産業省・内閣府がオブザーバーとして参加します。科学技術振興機構(JST)がプログラムオフィサーとアドバイザーを配置し、公募・審査・採択・進捗管理を担当します。

**公募と評価**
公募は3月末に予告が発表されており、大学と企業が協働で提案書を作成する形式となります。計画策定の段階で、特定企業との契約までは要求せず、実施を見据えた計画の提出で構わないとの方針が示されました。

評価については、ガバニングボードが事業開始3年後に中間評価、6年後を目途に事後評価を実施予定です。JSTの事業運営委員会においても毎年度必要に応じて評価を行い、支援の中止・加速・強化の判断も実施します。

**委員からの主要意見**
会合では委員から、①審査段階での多様性確保(分野、企業規模、地域性など)の重要性、②基金終了後の自走化を見据えた施策設計、③初期段階でのハードル低減(知的財産や不実施補償など複雑な課題への段階的対応)、④民間投資誘導を自走化の最大キーポイントとすることなどの指摘がありました。

出典:文部科学省ウェブサイト
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/043/siryo/mext_00002.html

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