文部科学省は令和8年8月18日、デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議の第5回会合を開催しました。堀田博子座長ら委員が参加し、2030年度に導入予定のデジタル教科書の指針策定に向けた議論を進めました。
事務局の報告では、これまで4回の会議で出された意見を整理した結果が提示されました。紙とデジタルがそれぞれ効果的な学習場面について、紙は全体を一覧できる俯瞰性や、手書きによる深い思考を活用した学習に適し、デジタルは動画やシミュレーションによる視覚的理解、試行錯誤を通じた課題解決型学習に有効とまとめられています。
児童生徒の発達段階との関連では、小学校低学年・中学年では認知処理能力が未発達なため紙を基本としながら、高学年以降のメタ認知が発達した段階ではデジタル活用も効果的と整理されました。全国の採択権者を対象とした調査では、すべての学校種・教科を通じてハイブリッド(紙とデジタルの混合)形態の教科書を望む回答が最多でした。
論点として、全デジタル形式は発達段階を踏まえて対象学年を限定することが検討課題とされました。また、教科特性に応じてデジタルに比重を置く構成と紙に比重を置く構成の両方が必要との指摘がなされています。
会議では、放送大学の中川正法座長代理が具体的な提案を発表しました。国語科の説明文教材を例に、端末画面に直接ペンで書き込む機能の教育的効果を詳しく説明しました。児童が複数の色で線を引いたり印を付けたりすることで、文章構造の分析、主体的な意味理解、図表との関連付けなど、多様な読解活動が可能になるとしています。
デジタル特有の機能として、異なる意味体系を同一画面に重ねて表示し、レイヤーのオンオフで切り替える機能は紙では実現不可能な点が強調されました。また、デジタルでは修正が容易なため、児童が試行錯誤を繰り返す能動的な思考が促進される利点も指摘されています。
全国の教師からの実践報告では、デジタル教科書の書き込み機能により、個別の考えが可視化され、他者との対話を通じた読みの深化が実現したとの声が紹介されました。教師が児童の画面を確認することで指導計画を柔軟に見直す効果も報告されています。
中川座長代理は、算数の文章問題や社会科の歴史解説など、他教科にも説明文読解の重要性が共通していることを指摘し、紙の本文とQRコード連携に限定せず、端末画面書き込み機能を残すハイブリッド形態が望ましいと主張しました。
初等中等教育局の茂里毅新局長は、デジタル教科書制度の成立過程において指針の重要性が最大の焦点となったことを述べ、未来へ開く優れた指針の策定を目指す決意を示しています。
出典:文部科学省ウェブサイト「デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議・第5回議事録」 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/206/gijiroku/mext_02450.html
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