英国教育省は2023年9月、生涯学習給付制度(Lifelong Learning Entitlement: LLE)に関する政策文書を公表しました。本制度は18歳以上の学習者を対象とした新しい学生資金制度で、2027年1月から導入される予定です。
LLEの基本的な仕組みは、従来の高等教育資金制度を補完し、より多様な学習経路を支援することを目的としています。対象となる学習には、大学の学位取得課程だけでなく、モジュール形式の短期コース、レベル4~6の各種資格取得課程が含まれます。これにより、学習者はキャリア形成の各段階で柔軟に学習を選択できるようになります。
資金の仕組みとしては、授業料ローンと生活支援ローンの提供が予定されています。2026年5月の更新情報によれば、生活支援ローンは最大3回の分割払いで支給されることが確認されました。既存の学生ローンの返済スキームとおおむね一致する予定です。
対象者の要件として、学習者は一定数のクレジット(単位)の修得を求められます。2025年11月の更新では、授業料ローンと生活支援ローンの対象となるための最小クレジット数が明確化されました。また、障害学生手当(Disability Students Allowance)などの追加支援も用意されています。
実装の過程では、段階的な導入が採用されました。2024年10月の更新では2025年から2026年度に段階的導入を行い、最終的に2026年から2027年度に本格運用することが確認されました。教育提供機関(プロバイダー)向けのガイダンス整備も並行して進められており、2026年7月時点で「LLE提供機関向けガイダンス」が公表されています。
授業料の上限が設定されており、2026年4月の更新では2026年から2027年度の授業料上限と具体例が提示されました。高等教育機関は登録機関(Office of Students: OfS登録機関)として、本制度に参加するための要件を満たす必要があります。
資格の認可プロセスとしては「適格資格ゲートウェイ」が導入されました。レベル4、5、6の資格がこのプロセスを通じて審査され、2026年5月時点で認可された資格リストが公表されています。さらに、モジュール形式での学習を加速させるプログラム(modular acceleration programme)も設置されています。
本制度は従来の「上級学習者ローン(Advanced Learner Loans)」を置き換える形で導入されます。2025年8月の更新では、LLEがレベル4~6の資格に関してはAdvanced Learner Loansに取って代わることが明確化されました。
医学・歯学を第二学位として選択する学生向けの優先追加給付も用意されており、2025年9月の更新でこの支援内容の詳細が追加されました。
制度の管理には規制措置も含まれており、2026年5月時点で二次立法(secondary legislation)の詳細と授業料上限および資金制度の実装に関する情報が公表されています。教育セクター全体への支援とともに、規制の透明性確保も進められています。
出典:UK Department for Education, Policy paper: Lifelong Learning Entitlement (LLE): Overview, https://www.gov.uk/government/publications/lifelong-learning-entitlement-lle-overview
