文部科学省は令和8年7月15日、原子力科学技術委員会の原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第29回)を開催しました。黒﨑主査の進行の下、委員10名が参加し、原子力科学技術施策の最近の動向から人材育成まで、幅広いテーマについて意見交換が行われました。
会議ではまず、試験研究炉の現状が報告されました。京都大学のKURが4月に運転を停止したことで、現在の稼働炉は4基、停止中が4基となっています。また、経済産業省が4月に改定した高速炉・ガス炉のロードマップでは、高速炉について2028年のGo/No-GO意向判断が示されています。この文脈で、常陽は高速炉実証炉開発に不可欠な照射試験施設として改めて位置付けられました。
高速実験炉「常陽」に関しては、規制審査への対応状況が詳細に説明されました。現在、耐震性の影響評価が審査の重点課題となっており、特に地盤の耐震性評価について規制委員会から追加的な調査の必要性が指摘されています。原子力機構は建屋周辺のボーリング調査を増やし、地盤データを採取した上で耐震解析を再実施する予定です。これまで令和8年度半ばの運転再開を目指していましたが、追加調査に要する時間のため、見直しが公表されています。具体的な再稼働時期については、調査・解析結果を踏まえて規制審査を経た上で、年末から年明け頃の公表を一つの目安として進められています。
並行して、新規制基準対応工事も着実に進捗しています。竜巻対策、火山対策、耐震対策、BDBA(設計基準事故を超える事象)対応など、多角的な安全強化が実施されています。また、医療用放射性医薬品(RI)の製造についても許可取得とグローブボックスなどの機材整備が進められており、常陽がん治療への応用や高度医療への貢献も期待されています。
人材育成の分野では、経済産業省が産学官一体の司令塔機能の創出を進めており、文部科学省は本年度中の構築とロードマップ策定を目指しています。これは単なる計画ではなく、関係者が実質的にコミットする体制の整備を目指すものです。
政策文書における原子力の位置付けも強化されています。国の骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)では次世代革新炉の開発・設置、成長戦略では人材育成司令塔の整備と原子力機構の研究基盤強化がそれぞれ記載されました。前日に閣議決定された統合イノベーション戦略でも、原子力機構のイノベーション機能強化と人材育成ハブ機能の強化が明記されています。
委員からは、研究炉が減少していく中での影響評価や海外との協力体制構築の必要性、そして政府文書への記載が実質的な予算や施策につながることへの期待が表明されました。電気事業連合会の代表からは、常陽再稼働が高速炉開発に不可欠であり、規制対応における事業者側の知見の活用を提案するなど、産学官の連携強化が強調されました。
出典:文部科学省ウェブサイト https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/100/shiryo/1422932_00044.htm
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