世銀がラテンアメリカでAI活用推進、18件のプロジェクト選定

世界銀行は、ラテンアメリカ・カリブ海地域(LAC)の政府や民間機関、研究機関を対象とした「LAC AI Accelerator」イニシアティブを展開しています。このプログラムは、人工知能(AI)、特に自律的に動作するエージェントAIの導入と実装を促進し、地域の包括的なデジタル経済成長を目指すものです。

本イニシアティブの主な特徴は、参加チームに対する包括的な支援体制です。世界銀行と戦略的パートナーは、「デジタルサービスチーム」と呼ばれる提案チームに対し、制度成熟度の評価、戦略的助言、技術メンタリング、専門人材育成、ネットワーキングの機会を提供します。ただし、ハードウェアやソフトウェア、計算リソースは参加チーム側で用意する必要があります。完成した訓練プログラムの受講者には、世界銀行グループから修了証が発行されます。

プログラムは3つの重点分野を設定しています。第1に「デジタルガバメントサービス」で、市民や企業が自然言語でAIエージェントと対話し、手続きを完結できるサービスの構築が対象です。第2に「公共部門の効率化」で、バックオフィス業務の自動化や処理の簡素化、事例管理の最適化などが想定されています。第3に「ポリシー設計・実施」で、AI支援によるシミュレーションを活用し、補助金や規制、社会保障プログラムなどの政策影響を実装前に検証することが含まれます。

応募チームは、複数分野の専門家で構成される学際的なメンバーを必須とします。インフラ、農業ビジネス、保健、製造業、観光の5優先分野との整合性が推奨されていますが、必須ではありません。また、国・州・地域レベルのいずれかの公共デジタル機関の支援と、その責任者による誓約書が必要です。複数国の公共機関の連携による応募も認められています。

選定プロセスは2段階です。応募チームは機関誓約書、ユースケース提案書、プライバシー同意書の3文書を提出します。これらはLAC AI Accelerator統治委員会により、5つの加重評価基準で審査されます。具体的には、開発課題への対応と波及効果を問う「インパクト・関連性」、AIの適切性と組織の準備態勢を問う「データ・AI適合性」、実行可能性を問う「実現可能性・チーム」、データ保護やバイアス軽減を問う「安全性・責任」、長期継続と拡張性を問う「持続性・スケーラビリティ」です。

プログラムスケジュールは、2026年2月16日の公募開始から始まります。応募受付は2月16日から3月20日、選定発表は3月30日です。選定チームは4月6日にオンボーディング訓練を受け、その後月次フォローアップセッションに参加します。最終的には9月7日に閉幕式を迎え、10月の世界銀行デジタルサミットで成果が展示される予定です。

現在、LAC AI Acceleratorは12カ国18件のAIソリューションを支援しています。例えば、コロンビアのボゴタでは市民向けスマート公共サービス提供AIエージェント、トリニダード・トバゴでは公共サービスと意思決定支援統合プラットフォーム、チリではヘルスケア予約キャンセル時の自動補充AIコパイロットが選定されています。

このイニシアティブから得られた知見は「AI Use Case and Knowledge Platform」に保存され、7つの多国間開発銀行による協力により管理されます。また、年次報告書の発行を通じて、主要な教訓、ベストプラクティス、ポリシー設計に関する勧告が地域内および国際開発コミュニティで共有される予定です。本プログラムは世界銀行による初の試みであり、今後は毎年開催される予定で、各回に前年の知見が反映されたより包括的な支援メカニズムが追加されていくと期待されています。

出典:World Bank, CC BY 4.0(http://www.worldbank.org/en/region/lac/brief/accelerator-lac)

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