文部科学省は令和8年5月18日、木造校舎の構造設計標準の在り方に関する検討会ワーキンググループ第6回を開催しました。JIS A 3301の改正に向けて、木造校舎の具体的な設計例作成について検討しています。
【設計例作成の方針】
今年度の重点は2階建ての小中一貫校の設計例です。小学校と中学校の設計例を優先した従来の方針から変更され、小中一貫校が増加傾向にあることを踏まえて提案されました。規模は1学年1クラス程度とし、基本単位的なモデルを示すことで、実際の設計への応用を想定しています。
複数校の統廃合による小中一貫校の中には1学年1クラス程度しかならない事例も増えており、JIS(その他建築物)での設計では延べ面積2,000㎡ごとに火熱遮断壁が必要となるため、この規模が法規上・コスト上妥当と判断されました。それ以上の規模では準耐火建築物とする方が有利になる可能性があります。
次年度には平屋建ての小学校または中学校の設計例作成を予定しており、2階建てを優先する理由はJIS原案作成と並行して進める必要があるためです。
【学校計画の検討項目】
委員からは、児童・生徒数の減少に伴う空き教室の活用や地域連携拠点の設置、特別支援学級の分散配置などが提案されました。設計例では地域交流スペースや学童保育スペース、図書室配置なども盛り込む方針です。2030年以降の教育を見据えた学校計画の必要性も指摘されています。
【技術的な検討課題】
屋根架構ではトラスの複数タイプを例示することが決定され、ハイサイドライト(高窓)の採光方向や屋根断熱性能の確保方法などが整理されました。採光については、ICT機器の活用により南向きの窓がカーテンで塞がれるケースが増えているため、北向けでの採光が適切かどうかが検討課題となっています。
バルコニーについては、出幅1,800mmで設ける方針が示されましたが、その使用用途や必要性について委員から質問が上がりました。木造校舎の外壁メンテナンス観点では有効とされる一方、多雪地域での実例を踏まえてバルコニー無しとする対応も検討されています。
【設計上の制約と課題】
荷重条件では多雪地域と省エネ地域区分への対応が協議されました。外壁断熱の厚さと柱幅の整合性、屋根断熱の併用条件など、細部の技術的調整が必要とされています。
火熱遮断壁の制約により、バルコニーは連続できず、基本的には区画ごとに途切れる構成となります。防火壁部分もバルコニーを伝って燃え移る可能性があるため、意匠的にも教室単位での設置が現実的と判断されました。
ワーキンググループは引き続き、JIS原案作成委員会との相互フィードバックを通じて設計例を精緻化していく予定です。技術資料の充実により、標準設計例以外の対応方法についても示す方針が確認されました。
出典:文部科学省「木造校舎の構造設計標準の在り方に関する検討会ワーキンググループ(令和6年度~)(第6回)議事概要」https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/073/001/gijiroku/mext_00006.html
