モジュール式学習の認知向上で受講者増加——英国の専門カレッジの事例

英国教育省が公開したケーススタディでは、デヴォン州に位置するエクスター・カレッジが、生涯学習制度(LLE:Lifelong Learning Entitlement)の試験的プログラムであるモジュール加速プログラム(MAP:Modular Acceleration Programme)における受講者確保の成功事例を報告しています。

【課題と背景】
エクスター・カレッジは、高度な技術資格(HTQ:Higher Technical Qualifications)をモジュール式(個別単元制)で学べるMAPを導入することを決定しました。しかし農村地域という立地上の制約により、モジュール式学習の認知度向上と受講者確保に難しさを抱えていました。具体的には、対象となる学習者層が不明確であること、受講者がモジュール式学習の内容や仕組みを理解していないことから中途退学のリスクが高いこと、地元雇用主がモジュール式学習を認識していないことが課題でした。加えて、短期間のモジュール受講では学習支援体制を整備しにくいという構造的な問題も指摘されていました。

【実施した対策】
認知向上戦略として、カレッジは複数のアプローチを組み合わせました。まずモジュール式学習専用のウェブページを開設し、進学相談スタッフに対してモジュール式学習の特性を教育しました。その上で、SNSと地域ラジオを組み合わせた広告展開を行いました。カレッジは「地域ラジオは成人学習者へのアプローチに特に効果的」と述べており、農村部の特性に合わせた媒体選択が奏功したと報告しています。

さらに、受講希望者に対する入学前面接の実施により、学習環境と学習要件の事前理解を促進しました。地元企業との連携は、既存の職業訓練(アプレンティスシップ)プログラムを通じた関係性を活用することで、効率的に構築されました。

【対象者の明確化と支援体制の整備】
認知向上の過程で、カレッジはモジュール式学習の主たる受講者が成人学習者であることを認識し、マーケティング戦略をそれに合わせて調整しました。また進学相談スタッフがモジュール式学習について十分な情報を持つことで、受講者からの問い合わせにより適切に対応でき、受講者の完了率向上につながったと報告しています。

【多世代学習の相乗効果】
MAPの成功要因の一つが、成人受講者と若年の全日制学生を同じクラスに配置したことによる相乗効果です。成人受講者は職場での実践例を提示することで、若年層の学習に現実的な価値を加えました。実際に、プログラムを修了した成人受講者の一人は、自身の職場部下のスキル向上研修としてモジュール学習の活用を検討するまでに至ったと報告されています。

【成果と今後への示唆】
エクスター・カレッジはMAPにおいて情報技術分野のモジュール提供に成功し、モジュール式学習者の受講者確保と支援ニーズへの対応方法を体系化しました。カレッジが他の教育機関に示唆する点は、農村部では地域ラジオが有効な広報媒体であること、受講者事前面接が継続率向上に寄与すること、短期モジュール向けの学習支援体制(特に障害学生向け支援)の事前設計が必要であること、そして既存のステークホルダー関係を新しいプログラムの認知に活用することの有効性です。

出典:UK Department for Education, OGL v3.0
https://www.gov.uk/government/case-studies/recruiting-map-learners-by-raising-awareness-of-modular-study

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