英国、受刑者の子ども193,000人を支援する新制度開始

英国の教育省と司法省は、親が獄中にある子どもたちを対象とした支援制度を2026年夏から開始することを発表しました。

【制度の背景と課題】
英国では毎年、イングランドとウェールズで約193,000人の子どもが親の獄中経験を持つとされています。このような状況は、子どもの学業成績、精神衛生、将来の職業見通しに長期的な悪影響を及ぼす可能性があります。しかし現状では、刑務所・警察・自治体などの公共サービスが保有する情報が分散しており、支援が必要な子どもたちが適切なサポートを受けられないまま「制度の隙間」に落ちるケースが多くありました。

【新制度の仕組み】
新制度は、複数の公共機関が保有する情報を統合するデータシステムの構築を中核としています。特に注目すべき点は、警察が受刑者の情報を地域の自治体と共有することで、対象地域の自治体が支援対象の子どもを事前に把握できるようになることです。これまでのような事後的な対応ではなく、親が獄中に入る段階で早期に支援を開始する仕組みが実現します。

【提供される支援内容】
認識された子どもと家族には、個別のニーズに応じたテーラーメイド支援が提供されます。具体的には、情動的幸福度、自信、帰属意識の向上支援、ファミリー・ハブ(家族向け支援施設)への接続、身体・精神保健サービス、住宅相談、青少年サービス、地域慈善団体によるプログラムなどが含まれます。

【実施体制】
このパイロット事業は2026年夏に開始し、2028年までの2年間運用されます。対象は当初、親の獄中率が高い地域に限定される予定で、その後全国への拡大を目指しています。司法省と教育省が共同で運営し、個人情報保護影響評価も実施される見込みです。

【関係機関の評価】
受刑者の子ども支援に40年の経験を持つ慈善団体POPSは、このイニシアティブを歓迎し、第三セクター(民間非営利部門)の専門知識や実際の支援を受ける子ども・家族の実体験をプログラム設計に反映させることの重要性を指摘しています。また、Clinks Families Network委員長も、子どもたちが信頼できる地域コミュニティの空間で支援を受ける必要性、およびスティグマ(烙印)化を防ぐことの重要性を強調しています。

【政策的位置付け】
本施策は、政府のより広範な「すべての子どもに最善の人生の始まりを」という政策目標の一部です。家族支援サービスの充実、児童社会福祉制度改革、ナイフ犯罪を10年以内に半減させるという目標と連動して推進されます。親の犯罪によって不利を被る子どもたちを早期に保護し、貧困と犯罪の悪循環を断つことが狙いです。

出典:UK Department for Education(OGL v3.0)
https://www.gov.uk/government/news/government-action-so-children-do-not-pay-for-a-parents-crime

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