中学新設「情報・技術科」に統合実習、複数技術の組み合わせ学習を強化

文部科学省の中央教育審議会初等中等教育分科会は2025年4月16日、情報・技術ワーキンググループ第8回会議を開催し、中学校新教科「情報・技術科(仮称)」に「総合実習(仮称)」を設置する検討内容を審議しました。

【統合技術の必要性】
現在、自動車やコンピューターなどの技術は個別に発展してきましたが、近年ではマルチモーダルAI、データ基盤、センシング技術の進展により、デジタル技術とフィジカル技術を組み合わせた統合的な技術が急速に社会実装されています。フィジカルAIやAI・ロボティクスなど、複数技術が統合されたシステムは今後、社会基盤そのものを劇的に変えることが見込まれており、すべての国民にとって不可欠な基盤的技術になると想定されています。

例えば、スマートフォンや自動車の運転支援システムなど、日常生活で複数技術が統合されたシステムが広く利用されています。しかし、その仕組みを十分に理解せずに使用している場合が少なくなく、意図しない結果や安全上のリスクを生じさせる可能性があります。義務教育段階から、統合的な技術やシステムの基本的な仕組みについて一定の理解を保障することが不可欠であるとの認識が示されました。

【総合実習の狙い】
総合実習(仮称)は、各領域で学んだ知識や技能を相互に関連づけ、それらを日常生活に活用できるようにするとともに、培われた思考力・判断力・表現力等を組み合わせて総合的に発揮し、未知の状況においても課題を解決できるようになる学習を目指すものです。

従来の技術科は、木材加工や栽培、電子工作といった体験的学習にとどまり、それらを生活で活用したり課題解決に生かしたりすることに十分つながっていないという課題がありました。総合実習(仮称)は、作る活動を通して知識の理解や思考内容を表現・外化する機会を確保することで、この課題に対応します。

【学習過程の考え方】
総合実習(仮称)では、技術の学習過程として「技術の原理と仕組みの理解」「技術による問題解決」「社会における技術の吟味と活用」の3段階に沿って学習活動を行います。具体的には、仕組みの理解から課題設定、構想、制作、評価・改善を経て、技術を俯瞰し生活や社会での活用を考える流れが想定されています。

会議資料では、防災をテーマに逃げ遅れた人の居場所を知らせる救助ロボットのシステムを制作する例や、既に習得した技術に新機能を加える例など、複数の学習活動パターンが示されました。

【指導上の工夫】
複数技術を統合する学習では、単一技術を活用する場合より、構想段階の検討事項が多岐にわたり、制作過程での試行錯誤が不可欠です。このため、必要に応じて一定のまとまりのある時間を追加的に確保することが学習充実のために有効と考えられています。

指導計画の編成では、他の内容項目から時間を移行しないパターン(既存の制作品に新機能を加える)と、時間を移行するパターン(統合技術で新たなものを創出する)の二つが想定されています。

【条件整備】
全国の中学校で総合実習(仮称)を実施可能にするため、指導体制の整備が重要です。国は免許法認定講習に加え、各都道府県の指導体制改善計画の実施をフォローアップする予定です。さらに、現場の負担軽減のため動画教材などを提供するとともに、教員向けの研修プログラムを全面実施前に提供することも検討されています。

会議では、学習活動事例に女性生徒の活動を含めるなどジェンダーバランスへの配慮や、実践事例の充実、教員が学習内容をイメージしやすくするための教材開発などについても、委員から要望が示されました。

出典:文部科学省ウェブサイト https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/118/gijiroku/mext_00017.html

本記事は一次情報をもとにWorldEdu Report編集部が編集しています。編集方針:運営者情報

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール