共同利用・共同研究拠点の第5期改革へ ネットワーク型強化が焦点

文部科学省の科学技術・学術審議会の下部組織である共同利用・共同研究拠点等に関する作業部会は、2026年6月22日にオンラインで第11回会議を開催しました。第5期中期目標期間(2027年度から)の開始に向けて、拠点制度の基本的な方向性を具体化するための重要な検討が進められています。

【改革の三本柱】

会議では、これまで1年間の議論を踏まえた改革の方向性が提示されました。第一に、拠点を成果や体制に応じた3つのカテゴリーに分類し、カテゴリーごとの支援方法や認定基準、評価観点を見直すこと。第二に、ネットワーク型拠点の強化として、研究者コミュニティーの活性化と研究基盤の底上げを実現するための形成促進策が必要とされています。第三に、新陳代謝の促進として、基準の明確化とネットワーク化により、老朽化した拠点の入れ替えを進めることです。

【ネットワーク型拠点の現状】

現在、認定されているネットワーク型拠点は7つです。制度改正の歴史を見ると、平成20年の制度創設時から既にネットワーク型が想定されていました。平成28年には、大学以外の大学共同利用機関法人や研究開発法人の研究施設を連携施設として位置づける「連携ネットワーク型拠点」が制度化されました。令和2年には、告示を改正し、ネットワークを構成する複数拠点が共同で運営委員会を設置することを認めるなど、運営面での柔軟性が高まっています。

【予算配分の改善】

文科省は、ネットワーク型拠点に対する予算配分ルールを見直しました。従来は、構成施設の教員数を合算して係数を算定していたため、ネットワークの規模が適切に反映されにくい課題がありました。改善後は、各施設ごとに教員数に応じた係数を個別に算定し、各施設に配分することで、ネットワーク全体の規模がより正確に反映されるようになりました。この改善により、ネットワーク拠点への予算規模は従来比で拡大しています。

【具体的な事例から学ぶ】

会議では、ネットワーク型拠点の実例として、大阪大学を中核とする「物質・デバイス領域共同研究拠点」から活動状況が報告されました。同拠点は5つの研究所で構成され、2010年の活動開始から現在まで8000件を超える共同研究を実施しています。教職員数は1200名を超える大規模拠点です。

同拠点の成功のカギとされるのが、異分野融合を促す仕組みです。基盤共同研究から高度な展開共同研究、最高峰のCOREラボ共同研究まで、段階的なプログラム構成を用意することで、小規模な協力から本格的な融合研究へと発展させています。年間約1300本の論文発表のうち、約3割が拠点利用者との共著論文であり、その質的水準も高いとされています。

しかし報告者は、ネットワーク型拠点の課題も率直に指摘しました。複数大学にまたがるため、大学ごとの情報公開やガバナンスの相違、予算移算の制度的保証の不足、意思決定の非同期性など、運営上の複雑性が増大しています。特に中核機関のマネジメント負荷は単独拠点の数倍に達する可能性があるとのことです。

【今後の検討予定】

作業部会は、これらの課題を踏まえ、第5期の開始時点から適用できるネットワーク形成促進策については早期検討を進める予定です。予算支援の在り方、認定基準の明確化、評価制度のネットワーク型への最適化など、制度全体の改革が進められる見通しです。会議にはオンラインで253名が参加し、現場の関心の高さが伺えました。

出典:文部科学省 共同利用・共同研究拠点等に関する作業部会(第13期)第11回議事録 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/054/gijiroku/1417785_00020.html

本記事は一次情報をもとにWorldEdu Report編集部が編集しています。編集方針:運営者情報

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