第9回産業教育WG、資質・能力ベース改訂を了承

文部科学省は令和8年6月22日、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の産業教育ワーキンググループ第9回会議の議事録を公開しました。本会議はWEB会議と対面を組み合わせた形式で開催され、産業教育ワーキンググループの最終的な取りまとめに向けた審議が行われました。

【高次の資質・能力と単元計画】

事務局から提示された「高次の資質・能力等を生かした単元計画づくりの参考イメージ」では、農業・工業・商業・水産・家庭などの各産業教科について、単元構成における「統合的な理解」と「総合的な発揮」という学習の深まりの姿を具体的に示しました。例えば農業では、育苗から定植、生育、収穫に至る実習の段階ごとに、身に付けるべき資質・能力を明示し、並行する関連科目との関連性も示す構成となっています。これまで教科書の内容や学習活動中心だった単元計画が、資質・能力ベースを意識した構成へ転換することが期待されています。

委員から「統合的な理解や総合的な発揮から単元目標・評価規準にブレークダウンする際、文部科学省が全て示すのか、学校の現場で作成するのか」という質問があり、事務局は「統合的な理解・総合的な発揮は学習指導要領に記載し、評価規準例は国立教育政策研究所の参考資料として例示する。実際の単元目標・評価規準は各学校で検討する」と説明しました。

【資質・能力ベースへの転換】

取りまとめ案の主要な改善点として、従来「知識及び技術」としていた評価観点を「知識及び技能」と改めることが確認されました。これにより、産業教科・科目の評価も資質・能力の三つの柱「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」で統一されます。委員からは、現場の混乱を避けるため「技能」への転換について丁寧な説明が必要との指摘がありました。

【資格取得と専門教育】

専門高校における資格取得に関して、取りまとめ案に新たに追記された文言では「資格取得や検定試験合格のみに終始した授業展開は適切ではないが、専門高校における資格取得は学習意欲の向上やキャリア形成の手段として重要な側面を持つ。過度の試験対策偏重による弊害には十分に留意しつつ活用していくことが重要」と明示されました。

【産業界との連携・協働】

12ページの追記部分では、産業界との連携強化の具体的な取組が示されました。ゲストティーチャーの招聘のような単発的な学習ではなく、「マイスター・ハイスクール事業」の成果を踏まえ、共通の目的やビジョンが共有され、計画から実施、評価まで一貫したプロセスに基づく持続的な協働関係を構築することが重要とされています。

さらに立地条件への配慮として「連携先の確保や生徒の移動が難しい場合も考えられるため、教育委員会等の設置者や地方公共団体は、産業教育振興会との協力やコーディネーター配置による連携促進、コミュニティ・スクール活用、デジタル学習基盤を用いた遠隔地の専門家指導など」の取組が期待されると記述されました。

委員からは、少子化に伴う小規模校や産業基盤の乏しい地域での講師確保やバス代などの実質的な課題に対し、設置者・自治体による実効性のある支援の必要性が強く指摘されました。

【中学との接続】

8ページの追記では、中学校の「情報・技術科(仮称)」や「家庭科」での学習と、高校の産業教科の接続を意識することの重要性が明記されました。

【その他の改善点】

「課題研究」については、産業教育における探究的学びの配慮事項を中心とした内容で、各専門教科に設置される科目であることから「並列パターンで表形式に整理することが妥当」と整理されました。また「パフォーマンス評価」の表現を統一して「パフォーマンス課題を用いた評価」とし、「学びに向かう力、人間性等」の評価方法についても今後の留意事項整理が求められることが追記されています。

看護については、従来の「情報教育に関する倫理的課題」という表現から「人間の尊厳」を重視する内容へ修正されました。

【委員の総括】

商業教育の委員からは「産業教育がかつての事務処理中心から、地域・企業と協働し社会課題を自分事として捉え、より良い社会を作る担い手を育成する教育へ進化している」と述べられ、9回にわたる議論の成果が今後の教育課程に反映されることへの期待が示されました。

本日の審議でご了解をいただきたなれば、その後、教育課程企画特別部会・教育課程部会での審議を経て、年内に中央教育審議会としての答申が取りまとめられる予定です。

出典:文部科学省ウェブサイト
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/106/gijiroku/mext_00010.html

本記事は一次情報をもとにWorldEdu Report編集部が編集しています。編集方針:運営者情報

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