AI時代の研究データ基盤構築へ、分野別の現状と課題を議論

令和8年5月22日、文部科学省は「AI for Scienceを支える研究データの管理・利活用と流通の在り方ワーキンググループ」の第5回会合を開催しました。このワーキンググループは科学技術・学術審議会情報委員会の下に設置された専門家組織で、AI技術を活用した科学研究を支える研究データ基盤の構築方策について検討しています。

本会合では、前回までの議論を踏まえ、取りまとめに向けた骨子案が提示されました。特にセキュリティ強化を新たな論点として追記し、より包括的な基盤構想の検討が進められています。

報告では、ライフサイエンス分野の現状が詳細に説明されました。生物学、医学、薬学、農学など多岐にわたる分野で、ゲノム配列、タンパク質、化合物、疾患情報など多様なデータが生成されており、世界全体で7,000~10,000のデータベースが存在しています。これらを統合・利活用するため、FAIR原則(見つけやすさ、アクセス可能性、相互運用性、再利用可能性)に基づいた取り組みが進められています。具体的には、2,500程度のデータベースをカタログ化し、そのうち819のデータベースで横断検索を可能にしています。さらに、知識グラフ形式で220億トリプル(データの組)を統合して提供するなど、データを機械が理解できる形に整備しています。

ライフサイエンス分野からは、国立情報学研究所が構想する知識基盤への期待として、分野横断的な標準ツール群の提供が要望されています。特に海外研究者も利用可能な認証機構、倫理審査が必要なデータの管理機構、大規模ストレージの提供などが課題として指摘されています。また、論文発表時にデータリポジトリ登録を義務づけるなど国際的な慣行が浸透している一方で、発表されないデータの共有促進には、国の方針としてのデータシェアリングポリシー確立が必要との意見も示されました。

本ワーキンググループは、各分野の実践的な取り組みと国立情報学研究所による統合的知識基盤構想との接続方法を詳細に検討することで、研究者が円滑にAIを活用できる環境整備を目指しています。6月の最終取りまとめでは、データ基盤と計算基盤の一体的整備、実験基盤を含めた各基盤の連携方策が示される予定です。

出典:文部科学省ウェブサイト「AI for Scienceを支える研究データの管理・利活用と流通の在り方ワーキンググループ(第5回)議事録」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu29/006/gijiroku/mext_00005.html

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